医療過誤事件の流れ

医療過誤事件の流れ

1、法律相談

 医療事故、医療過誤の法律相談においては、病院名、入院前の症状、入院、検査、診断、治療、事故発生、現在の状況(死亡、後遺症の重症度)、医師の説明など、今までの経緯をメモに書いて来ていただけると、情報が洩れなく伝わり、相談内容がより一層正確になります。診察券、お薬手帳、診断書(死亡診断書)、検査結果票、医師の説明メモなどの関係書類も、重要な参考資料となりますので、所持しているものがあればご持参ください。

 相談件数の約90%は「医療過誤(医師の過失責任あり)」の可能性が低いとして相談のみで終了となりますが、約10%は「医療過誤(医師の過失責任あり)」の可能性が高いとして調査受任契約(証拠保全またはカルテ開示による診療録の調査の受任契約)に進んでいくことになります。

 

2、証拠保全、カルテ開示

 証拠保全は、裁判所、患者側代理人弁護士、カメラマンが相手方病院へ行って、診療録を撮影して来る手続です。電子カルテの場合は、プリントアウトまたはディスプレイ画像を撮影します。弁護士費用(調査手数料33万円)の他に、カメラマンの費用、医学文献購入費、協力医師への相談料、コピー代、郵便費用等、実費が30万円くらいかかります。

 カルテ開示は、病院のカルテ開示制度を利用して任意に診療録のコピーを作成してもらう方法です。弁護士費用(調査手数料33万円)の他に、医学文献購入費、協力医師への相談料、コピー代、郵便費用等、実費が20万円くらいかかります。

 以前は全件証拠保全を行っていましたが、最近は、相談の段階で開示されたカルテを持参される相談者も多くなっており、証拠保全とカルテ開示の比率は半々くらいです。

 

3、診療録(カルテ)の検討

 弁護士が診療録を読み、医学文献を調査して、問題点を検討します。協力医師は忙しいので、協力医師に丸投げすることは厳禁となっています。弁護士が「医療過誤(医師の過失責任あり)」と考える問題点を指摘して質問事項の形で提起することにより、協力医師もその問題点を掘り下げて検討してくれるようになります。

 

4、示談交渉

 診療録を検討した結果、約半数は「医療過誤(医師の過失責任あり)とは言えない。」という結論となります。示談交渉は責任追及ですので、「医療過誤(医師の過失責任あり)」と言えない場合には示談交渉に進むことはできません。この場合、既にお支払いいただいた弁護士費用及び既に支出した実費は、戻ってきません。

 残りの半数は、「医療過誤(医師の過失責任あり)」として示談交渉に進むことになり、過失責任の内容を記載した内容証明通知書を相手方病院へ発送します。

 相手方病院は、保険会社(または医師会)の弁護士が示談交渉にあたります。

 相手方病院も「医療過誤(医師の過失責任あり)」であることを認める場合、示談交渉の中で、適正な損害賠償額が算定され、示談が成立することも多くなります。

 

5、訴訟

 相手方病院が「医療過誤(医師の過失責任あり)」ではないと判断する場合、示談交渉は決裂して、訴訟を提起することが多くなります。ADR(裁判外紛争解決制度)という手段もありますが、「医療過誤(医師の過失責任あり)」であるか否かが争われている場合は解決困難です。

 訴訟を提起する場合において難しい問題は、訴訟費用が高額であることです。弁護士費用(訴訟着手金=55万円)の他に、訴状に貼る印紙代(請求金額7000万円の訴状は23万円、控訴状は34万5000円)、協力医師の意見書40万円、鑑定費用50万円(複数の診療科が関係する場合は50万円×2人=100万円)などの費用がかかります。

 
 弁護士 秋 山   誠

 

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